九七年以降、大卒が新卒市場の多数に

2012.01.07

労働需要側の変化に対して、新規労働者を送り出す供給側の対応はどうなっているのであろうか。残念ながら、企業側の迅速な変化に対応しきれていないのがその実態である。たとえば、毎年、新規学卒者を送り出している大学について見てみよう。他の先進諸国と同じように日本でも大学への進学率の上昇が続いている。とくに、九〇年代に入ってからは高校卒業の就職者数が減少している。文科省の「学校基本調査」によると、九二年の高校卒業者のうち就職者は五八万人、大学への進学者は五九万人となり、大学進学者の数が就職した者の数を上回った。

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さらに、九七年には、高校卒業の就職者数は三四万人となる一方、大学卒業の就職者数は三五万人となり、大卒の就職者数が高卒のそれを上回ることになった。それ以降この傾向は続いており、今や大卒が新卒労働市場の多数を占める状態となっている。その意味で、大学教育の対応は、高校と同じかそれ以上に重要な意味を持っている。このような状況のなかで、大学関係者も大学教育の改革に大わらわである。九〇年代末からの就職事情の悪化もあるが、大学自体が少子化の影響を受けて、今後生き残りをかけた厳しい競争にさらされるという認識が浸透し始めたことも影響している。現実にいくつかの大学が倒産するなかで、「大学冬の時代」が到来したことを身をもって実感し始めたのである。学生自身が、現在の大学をどのように評価しているかを見ておこう。東京商工会議所が行った「新入社員の意識調査」(〇三年)によると、「就職活動で苦労しかことは何ですか」という質問に対し、「採用枠が少なく、競争が厳しかった」二七一・五%)、「内定が遅く、活動期間が長かった」(五〇・五%)に次いで、「学校側のフォローが足りなかった」と答えた者が三一・五%となっている。この回答は、高校卒業の新人社員の回答割合(一七・八%)よりも高い。少なくなった正社員の椅子を求めて、大卒者が苦労している実態が浮かび上がっていると同時に、大学当局による就職面での支援を求めている者が多いことを示している。




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