「日本型」システムがそうであるように、「システム」は相互に関連しあった諸制度から構成されている。後に詳しく見るように、制度化されない市場も存在する。いや、それが通常想定される「市場」だといってよい。それは確かに「自由」な市場である。つまり、転職や移動を促進する要因も、制約する要因もない。仕事が見つかる限りに応じて「事実」として転職がなされるということであり、いい換えるなら、「事実」として雇用が成立するということである。
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確かにこのような「市場」が広範囲に広がっている。それは日本における市場でもある。この意味で、日本において市場が未成立だというわけでは決してない。しかし、そのメカニズム自体が制度化された「市場」もまた存在する。このような市場が広範囲に広がることが、労働市場の最大の特徴であるといってよい。そしてそれぞれの制度化の違いに応じて、それぞれに異なる「市場」が成立する。「市場」の一つとして、実は日本型の雇用システムがある。同じくアメリカ型やドイツ型の雇用システムがある。この意味で「市場型」と呼ばれる普遍的なシステムがあるわけではない。それぞれに異なる「市場型」のシステムが存在するのであり、その制度化の違いに応じて、それぞれは転職を促進し、あるいは制約する。